この家が完成してからセルローズファイバーの断熱業者マツナガさんから「気密測定などをやりましょう!」と、ずっと声をかけていただいていました。少し落ち着いてきたので、気密測定をやっと実現することができました。
「鎌倉の家」の建具は木製の手づくり
鎌倉の家の玄関扉は手づくりの木製扉。これは家に入るときに目に付くところ、一番最初に触れるところは木の雰囲気を味わえるように木製にしたかったのです。リビングの窓も手づくりの木製窓。2枚引込みで全開放として寛ぎを楽しみたかったのです。
これら職人さんたちの手づくりの木製建具は、空間に心地いい雰囲気をもたらしてくれるので、新建材のアルミサッシや樹脂サッシで味わうことのできない体感ができます。なので気密性能に影響を与えるのは計算済み。鎌倉の家は玄関土間に薪ストーブがあり、単独で給気口を設けていますが、薪を焼べるときにキッチンなどで換気扇を使っていると煙は逆流する可能性があるのです。新築住宅の玄関まわりには給気口を設けたくないので、手づくり建具が給気口代わりになる試み。
「鎌倉の家」の構造と仕様
構造 木造(躯体:山長商店)
基礎 立上り一体打ちベタ基礎
断熱 基礎内断熱 ミラフォームMKS t50
壁断熱 セルローズファイバー t110
屋根断熱 セルローズファイバー t200
床材 吉野産ひのき
階段 吉野産ひのき
内装 稚内産珪藻土塗り
オガファーザー デュブロン塗り
建具 木製 ひば材
樹脂サッシ YKK APW330
さっそく気密測定の準備をはじめ、測定器の配置や養生をすすめていきます。
もともと断熱性能に関してはこだわっていて、断熱係数や耐火性能については何度も実験したり検証してきました。ただ気密性能に関しては、正直あまりこだわっていませんでした。
壁の内部の通気対策として透湿性のある耐力壁を施したり、透湿性の高い防水シートを採用したりしてるので、建物自体が呼吸するイメージで家づくりをしています。新築住宅の壁の内側にビニールを貼ったり、透湿性がないシートで覆ったりするのは、雨の日にビニール合羽を着て汗ばむのと同じようになるのではないでしょうか。
ただある程度の数値的な確証を得るために、今回の気密測定を実施しました。
家の気密性を示す指標は、隙間相当面積=C値といい家全体の隙間面積(c㎡)を延床面積(㎡)で割ったもの、この数値が小さいほど気密性が高い家になります。
鎌倉の家の測定結果は、木製建具の目ばりをしないで2.0c㎡/㎡。このくらいは想定していたので、床下暖房と薪ストーブの暖気の循環の吹き出し口をリビングの木製建具の前に2箇所設けて、窓際の温度差を緩和してます。次に木製建具の目ばりをして0.9c㎡/㎡ 。玄関の貫通ポストなどは、そのままの測定でしたので、まずまずではないでしょうか。
家づくりは奥が深く、いろいろな工法や素材があるので、その土地の特性を活かして私たち建築家や工務店の専門家が、しっかりとした知識と考えを示していかないとならないと改めて感じました。